経験にみる外国人採用の実態
講演者 特養老人ホーム 川口シニアセンター 窪山氏

目次

1 簡単な自己紹介
2 難しい外国人の採用
3 施設紹介
4 業務への工夫
5 技術への理解をどうするのか
6 国民性について

簡単な自己紹介

今日、お越しになっている皆様は社会福祉法人の方かたは少なく、民間事業所の方が多数なのかなという思いでいたのですが、社会福祉法人からの方もたくさんいらっしゃるということで。

私、窪山も社会福祉法人厚生会 特別養護老人ホーム 川口シニアセンターの施設長という役割を承って7年目となっております。

平成12年のスタートの時に医療職からこちらの福祉のほうに移りまして在宅のケアマネージャーと在宅での訪問系、通所系、これらの新規立ち上げを担ってまいりまして、その後に現在の職に就いているということでございます。

わたくし共は、外国人の採用に関しては不慣れではありましたが、、ひとつずつ、一個一個やってきたました。本日はその経験をお話させていただきます。

2015年になると団塊の世代65歳になり、2025年には75歳になります。75歳ということは、これから先、要介護認定を受けられる方が増えていくということを意味しています。けれども、担い手がいないという現実があります。今後、あと100万人ほど必要とされるでしょう。

介護業界も、リーマンショックの頃は、異業種からの参入というのが結構な数ありました。職員として多数入っていただいた経緯もございます。しかし、その人たちが定着していますかというと微妙なところです。出てった人もいますが、残っている人もいます。

ただし、なかなかうまく採用できないというのが現実です。そうしたなかで、5年前に、IPSさんからのご紹介で初めて、フィリピン人の介護職を求めている方々をご紹介をいただきました。

実は、私の隣にいる、今聞きとりしているスタッフ。この方は、一番最初に採用した第一号でございます。先週、同じ会場においてセミナーが行われたとき、私ひとりでは対応が難しいということもありまして、このカトリーナさんを伴ってきました。

カトリーナさんがタガログ語で上手に対応してくれたおかげで、エントリーシートを12枚獲得でき、今度の日曜日に4人の方と具体的な面接をするというところまでこぎつけたところです。

難しい外国人の採用

ご存知のとおり、介護福祉士でなければ帰国せざるを得ないような現状では、外国人労働者の採用はとても難しいです。しかし、私たちが採用させていただいているのは、ほとんどの方が日本人配偶者、そして多くの方が離婚されていて、お子さん抱え、経済面で非常に困窮し、介護という仕事に就いて日本で子どもたちを育てていこうという意気込みのある女性たちです。

日本の子どもたちは減っていますが、嬉しい事に、彼女たちは4人、5人のお子さんをお持ちなのですね。しっかりと育てていらっしゃいます。おそらく、元配偶者の方の援助もあるのかとは思いますが、介護職という賃金の中でお子さんたちを育てていらっしゃいます。とにかく、日本人よりも元気であるというところが、最も好ましいところかと思います。

施設紹介

私の施設をご紹介させていただきます。今年でちょうど10年目にはいったところでございます。126人の入所、そして7名の短期、ショートステイということで要介護者は4名。これでだいたい平均値、全国平均と変わらないところです。

ユニット型ですので、人数的には、職員がだいたい140名ぐらいに対して、8割が直接の介護従事者になっております。介護職員が70名のうち、外国人労働者およびフィリピンの方が現在4名いらっしゃいます。来週またお二人入るということで、6人になります。

幹部職員の方は、台湾からいらっしゃっている方で、准看護師さんの国家資格お持ちです。高齢でお入りなっていますが、もともと病院の一線で働いており、65歳定年をこえてまだ元気なので働こうというところで、私どもの特養に入所しました。夜勤がございませんので、お選びになったのかと思います。男女比は、男性2に対して女性3ということで、やはり女性の方が多い職場です。

外国人労働者を雇用して、まず、現場の日本人の介護職員から一番最初に出てきた言葉が「日本語通じるの?」「日本語で記録書けるの?」「読めるの?」などでした。いわゆる、さまざまな情報シートを読んで、それを理解をし、自分の業務にちゃんとつなげられるかどうかということが、不安要素としてあったのです。

もちろん、お入りいただいた方の中でも、先ほどご紹介させていただいたカトリーナさんは読み書きともに問題なく、もちろん理解もできますし、英語もオッケーです。非常に語学力のある方ですね。ただ一方で、介護技術に関しては非常にスキルがあるけれど、文字が書けないとか、読めるけど書けないという方もいます。

さまざまな能力があるので、その個人差をどうするか、どうやって埋めていって現場の職員たちにいわゆる「差別感」のようなものを持たさないようにするかということが、最初に私たちが考えたことです。

業務への工夫

私どもは、今、介護記録などもすべてパソコン化しております。最近では、どこもそのようになっているかと思いますが、フィリピンの女性たちや日本人の主婦は、まず、パソコンの前に座ってキーボードを打つということに対しての抵抗感がありました。

ただし、パソコン能力などはあとからついてくるものと思い、私たちはまず、パソコンや記録に触らない業務から始めることにしました。「必要で欠かせないこと」という意味においてマストな業務ですね。入所者またはそのご家族に対して、丁寧な言葉で伝えられるか。あるいはその伝える力があるかどうか。そして、聞き取る力があるのかどうか。このあたりのところを採用基準とさせていただきました。

それからとても重要だったのが、私たちの仕事は高齢者の命に関わることでありますし、高齢者の多くは重度化しております。ですので、さまざまな慢性疾患が重度化することで、生命に危険を及ぼすというようなこともあります。そのあたりの基礎知識をどのように伝えるか。どうやって伝えるかということを、私たちの事業所では、英語化するということで解決しました。

たとえば緊急時対応マニュアルの英語版というのも作りました。もちろん、日本人である介護職員に対してもこのシートは作っており、それぞれのユニットのステーションにすべて掲げています。外国人労働者のいるステーションにおいても、これをまずは研修で読んで理解をしてもらってから、貼り付けています。

緊急時というのは慌てます。慌てて判断したり行動したりすると、当然そこに大きな間違いをおこす可能性があります。そこで、絵で教えるのが一番いいだろうということで、いわゆるマニュアル化しています。最終的にはお医者さまにどのように伝えるかということを、ひらがなで書いた文章も作っております。ご利用者のお名前をひらがな表記にし、そして緊急時でも慌てずに行動できるようにと考えてのことです。

技術への理解をどうするのか

次に技術のほうです。ご入居されている方の中には、喀痰吸引などのさまざまな医療行為が必要となる場合があります。そうしたいわゆる特定行為を、フィリピンや外国人の方々にもしてもらうために、「医療行為をどのように伝え、理解してもらい、行為をしていただくか」という点を重要視しながら進めました。

医療行為に関しては、うちの看護師が埼玉県の指導介護士という資格を持っていますので、その方が年に2回テストを行います。このテストも、日本人は普通に漢字で書いてあるのですが、フィリピンの方々に関してはひらがな表記をしまして、同じようにテストを受けていただき、間違いなく医療行為ができるようにしております。

国民性について

次に、国民性についてです。私どものもとには現在、フィリピンの方と台湾の方がいますが、その前にはロシアの方もいました。そのロシアの方は、母国の医療機関において介護の仕事に携わっていたというご紹介がありまして、技術面に関してはまったく問題ないだろうという目論見で採用させていただきました。

ところが、日本の老人ホームにお入りのご高齢の方々というのは、どうしても甘えるところがあります。しかし、自立支援を強調される白人の方々は、お手洗いに介助に入ったとしても、拭いたり、あるいは下履きをあげたりということも、自分でできる能力があると判断したら、やってもらうまでかなり威圧的に強制するのです。「ご自分でするように」と。「私は手伝いません。あなたができなかったら私は支えますから自分でやりなさい」ということを強調するのです。

そもそもお年寄りは頼りたいわけですから、全部が全部「自立支援」とするのは、日本の場合は難しい。結果として、利用者のご家族からクレームとなり、離職せざるを得ないという残念な結果になってしまいました。

一方で、アジアの方々というのは、この問題に関してはクリアできています。まずご両親、あるいはおじいさん・おばあさんを敬うという気持ちを強く持っています。そして、世話をすることをあたり前とする国民性を持っていますので合格です。

また、明るいし笑顔がたえない。私たちが最初にフィリピンの方々を採用するきっかけとなったのは、友人の事務所でフィリピンの方を採用した途端「雰囲気が変わった」という声を聞いてなのです。

「フィリピンの人はなかなか良いようだからどうだろう」、という声がしばらくの間ありました。笑顔と明るさをたやさず、個人差ありますが、おおむねみなさん打ち解けやすい。そして、非常に親しみやすい性格を持っている。一番良いのが、入居者に慕われやすいことです。

優しさや敬う心が表にでてくるのでしょう。その前に失敗してしまったロシアの方とは違うところですね。そして、離婚歴をお持ちだということもあって、我慢強く、あきらめずに、とにかく懸命に取り組むという姿勢はみなさんお持ちかと思います。

日本の文化については、かなり努力して理解していただいていると思います。お祭りであるとか、あるいは日本の食事、箸の使い方とか、そういったことに関しましても違和感はありません。社員食堂で一緒に食事をとらせていただいて、なんら変更なく過ごしているのは、日本の文化にしっかり根付いているからなのでしょう。

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